『幸せにならない』と語った彼に、いま伝えたいこと

先日、当サロンにご来店くださったお客様。
数か月前にパートナーを亡くされたとのことでした。
「子どもたちに、キレイにして気分を上げてきたら?と言われて…」
私はただただ、そのお気持ちにそっと寄り添いたいと思いました。
掛ける言葉は見つからず。
思ったことは、このお客さまの悲しみを全部吸い取りたい。
お客さまに触れる職業の方は「お客さまの気をもらってしまった」とよく言います。私は一度もそれを感じたことがないのですが、その時ばかりはできる気がして、「悲しみ、全部こっちにこい」と念じました。

そして、静かに、丁寧にメイクをさせていただきました。

メイク中、よみがえってきたのは、私自身の記憶です。
私も20代の頃、大切な家族を亡くしました。
その時、すでに両親を亡くしていて、残された三人姉妹のうちの一人を失ってしまいました。
姉は、当時付き合っていた方の運転する車で事故に遭い、帰らぬ人となってしまったのです。新聞に掲載された、たった数行の小さな事故の記事。優しい姉が亡くなったのに、こんなちっぽけな扱い。後から考えれば有名人でもないので当たり前ですが、当時は悲しみがより一層深まった記憶があります。
励まそうと声を掛けてくれる人の中には「あなたの家系は短命だからしょうがない」などという人もいて、心が壊れそうでした。

数日後、姉の恋人とそのご両親が謝罪に来られました。
彼は一人では歩けない状態で、倒れそうなほどに憔悴し、涙を流しながら謝ってくださいました。

でも私は、彼を、そしてご両親を激しく責めてしまいました。
持ってきてくださった地元の果物も「こんなのいらない。食べられるわけない」と突き返し、「何しに来たんだ」「姉を返して」と泣き叫び、感情のままに怒りをぶつけてしまった記憶があります。

それから10年以上経ったある日、お墓参りの時に、お寺の住職さんが静かにお話をしてくれました。

「彼は、今でも毎年帰国すると、すぐにお姉さんに会いに来ています」
「“自分には幸せになる資格がない。これから先もずっと、結婚するつもりはない”とお話されていました」

その瞬間、涙があふれ出て、止まりませんでした。
ずっと、姉のことを思い続けてくださっていたこと、
私が知らなかったところで、彼もまた深く傷ついていたこと…。
そんな彼を見守っていたご両親のお気持ち。

いま、彼に会えたら、私はこう伝えたいです。

「姉を想い続けてくれて、ありがとうございます。
どうか自分を許して、幸せになってください
そして本当にごめんなさい」

そして天国のお姉ちゃんへ。
「彼にひどいことを言ってしまってごめんなさい。
生きているうちに気づけてよかったけど、ちょっと時間がかかってしまった。本当にごめんね」

私は今、どんな出会いにも、できるだけ優しい言葉で向き合いたいと思っています。
メイクは、外見だけを整えるものではありません。
心に触れる、祈りのような時間だと感じることがあります。

あの頃の私が、怒りの中でしか伝えられなかったことを、
いま誰かに、優しさとして返していけるなら。
悲しみや喪失に寄り添える人でありたいと思っています。

このブログを読んでくださっているあなたにも、大切な人との思い出や、言えなかった想いがあるかもしれません。

今日という日が少しでも前を向くきっかけになりますように。
そしてLADY GOが、あなたの新しい一歩を支える場所になれるなら、私は心から嬉しく思います。

関連記事

  1. 美キャリアラボのコラム

    愛の始まりは自分

  2. 家族旅行2018

  3. 起業/LADYGO

    プチ起業したい女性へ

  4. いつも持ち運べないもの…

  5. 呪いの解き方教えます/美キャリアラボ

    呪いの解き方、教えます

  6. 娘の高校受験終了!